ロングレールの謎
ロングテールではなくロングレールです。
ロングレールというのは、線路に敷いてあるあのレールの一種で、継ぎ目が無く数百メートルから数キロメートルもある長いレールのことです。線路に(通常は25メートル間隔である)隙間が無いので、ガタンゴトンというあの音が無く、乗客にも周辺住民にも優しく、レールの痛みも少ないというなかなか結構な代物だそうです。
私がロングレールのことを知ったのは、もう30年以上前のこと。小学校の行事でバスに乗っているときに、バスガイドさんが道路わきを走る、国鉄山陽本線を指して、「継ぎ目の無い長いレール」というようなことを聞いたのが初めてです。当時子供ながら、継ぎ目の無い長いレールって、何処で作ってどうやって持ってくるんだろうと思ったものです。しかも、当時の私は、「継ぎ目の無い長いレール」というイメージは、数百メートルという生易しいものではなく、それこそ何処までも続くレールが、本当に均質な一本のレールとしてつながっていると思っていたのです。どう考えても、工場から運んでくるのは無理です。となると、現場で溶かした鉄からレールを作ってそのまま設置しているのか! などと夢想していたものです。その後も何度かそのことを思い出したりして、その謎は解決されないまま今日に至っていました。
ところがその謎が本日、氷解したのです。通勤に使用している、小田急の車両のドアの上に、トレインボイスという、小田急からのお知らせの広告があります。その中に次のような一節を発見しました。
環境対策の推進「...溶接で継ぎ目をなくすロングレール...」
溶接で継ぎ目をなくす、、、 溶接、、、
いやはや、この事実は全く私の想像を超えたものでした。私の頭の中では、「継ぎ目の無い」という形容と、「溶接」という手法が結びつく余裕はまったくといってありませんでした。だって、例えば「継ぎ目の無い一枚板から作られたステンレス魔法瓶」があったとして、実はそれは溶接して形成してありますといわれたら、「嘘つき」とおもいませんか? このまま一人であと30年考え続けても「溶接」という発想は起こらなかったでしょう。